家賃支援給付金(中小法人等)          

目次

 

はじめに

この度の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、日常生活や事業活動に影響を受けていらっしゃる皆様に心よりお見舞い申し上げます。

『コロナに負けるな!』第4弾では、令和2年7月7日に経済産業省より公表された「家賃支援給付金申請要領」について概略を確認していきたいと思います。

第4弾①では「中小法人向け」の申請ガイダンスをまとめていきます。個人事業者の方は、第4弾②をご参照ください。

家賃支援給付金につきましては、電子申請のみでの受付となりますが、申請ホームページの開設は7月14日を予定しているようです。

添付資料が変更になる可能性がある旨記載されておりますので、申請する際は申請要領を再確認してください。

持続化給付金に比べると添付資料が膨大な上、注意点が多い印象です。事前準備をしっかりしたうえで、早急な受給を目指しましょう。

なお、持続化給付金同様、2020年1月~3月の間に設立した法人も給付対象とする方向とのことです。詳細は後日発表されるものと思われます。

なお、今回の記事作成にあたっては、令和2年7月7日現在の情報を基に記載しております。給付規定につきましては、現段階で未公開です。

 

家賃支援給付金について

家賃支援給付金は、地代・家賃の負担軽減を目的として、『賃借人である事業者に対して支給される給付金』です。

借主が申請する給付金となりますのでご注意ください。

≪家賃支援給付金HP≫

1.申請期間

令和2年7月14日から令和3年1月15日の24時まで

 

2.申請方法

電子申請

※パソコンをお持ちでない方、ご自身での電子申請が困難な方等については、申請サポート会場が開設される予定となっております。

 

3.予算がなくなることはあるの?

家賃支援給付金に関しましては、令和2年度補正予算(第2号)にて2兆242億円が手当されています。

持続化給付金の予算規模とほぼ同程度です。

対象事業者全てへの給付を想定しての予算付けであるということですが、対象企業がどの程度存在するかは私には想像がつきません…。

申請要領には「申請期限は令和2年7月7日時点の予定期間」との記載があります。

持続化給付金には無かった記載ですが、予算無くなり次第締め切ってしまうのか?と邪推したくなりますね。

 

4.給付対象者(概略)

  • 2020年4月1日時点で「資本金10億円未満」

  • 2019年以前から事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思を有すること。

 

5.給付要件(概略)

日本国内他人の土地・建物を事業のために直接占有し使用・収益していることの対価として、賃料の支払いを行っていること。

2020年5月から2020年12月までの間で、新型コロナウイルス感染症の影響等により

  • いずれか1か月の売上が、前年同月と比べて50%以上減少
  • 連続する3か月の売上の合計が、前年の同期間の売上の合計と比べて30%以上減少

≪例:1か月分の売上50%以上減少≫

≪例:連続した3ヶ月の売上30%以上減少≫

(注)売上の減少が、新型コロナウイルス感染症の影響ではないことが明らかな場合には申請できません。

持続化給付金と異なり、2020年5月以降の売上減少割合で判定することとなります。

また、上記の(注)部分が明記されておりますので、後々調査が入った際に「新型コロナウイルスの影響による売上減少」であることをしっかり証明できるよう、疎明資料(休業実績等)を残すようにしましょう。

売上算定にあたっては、発生主義が原則となります。

 

6.給付額の計算

①給付額の算定の基礎となる契約・費用

支払家賃のうち、どの部分が補填対象となるのかを確認ください。申請要綱の一覧表が見やすいです。

≪給付額算定基礎一覧表≫

②給付額の算定の基礎となる契約期間

下記のすべてに当てはまることが必要です。

  • 2020年3月31日時点で有効な賃貸借契約があること。
  • 申請日時点で有効な賃貸借契約があること。
  • 申請日より直前3か月間の賃料支払実績があること。

③給付額

法人は最大600万円となります。

月額給付金(上限額100万円)×6か月分です。

④月額給付金の算定方法

≪申請要領の表が分かりやすいです≫

⑤給付金算定の際の注意点

  • 給付額の算定にあたっては、申請日の直前1か月以内に支払った賃料が基礎となります。家賃の免除や値下げを受けている事業者のうち、元の賃料水準に戻る予定がある場合には、元の賃料に戻った後に申請したほうが有利となるケースがあります
  • 賃料を複数月分まとめて支払っている場合や、2020年4月1日以降に賃料が変動している場合等は、一定の調整が必要です。
  • 地方公共団体等から家賃補助を受けている場合には、一定の調整が必要です。場合によっては家賃支援給付金の給付を受けることができないケースがあります。

 

7.支給対象から除かれる契約

下記の3点については、給付規定に詳細が定められるとのことです。

中小企業においては、同族会社間での賃貸借契約や、役員と法人間での賃貸借契約が多く見受けられます。

不正受給とならないために注意が必要な部分となります。

給付規定が公開され次第、ご確認ください。

  • 転貸(又貸し)を目的とした取引の場合 
  • 自己取引(賃貸人と賃借人が実質的に同じ人物の場合)
  • 親族間取引(賃貸人と賃借人が配偶者または一親等以内の場合)

 

8.必要書類

家賃支援給付金の必要書類については、下線等により記載事項を明確化しなければならないものがあります。申請要領をご確認ください。

①税務署の収受印がある「2019年分確定申告書別表一」

※複数年度の確定申告書が必要になるケースがあります。

②確定申告書を電子申告により提出した場合は「受信通知」

③法人事業概況説明書の両面

※複数年度の法人事業概況説明書が必要になるケースがあります。

④2020年において、売上が前年同月・同期間比で50%以上減少した月・期間の売上台帳等

  • 売上台帳(経理ソフトデータ、Excel等のデータ、手書き台帳を問いません)
  • 総勘定元帳
  • 試算表等

⑤賃貸借契約書

  • 複数の物件を賃借している場合には、全ての賃貸借契約書
  • 引っ越し、再契約、契約更新のタイミングによっては、更新前の契約書と更新後の契約書の双方が必要な場合があります。
  • 賃貸借契約書の注意事項については、「家賃支援給付金申請要領 中小法人向け 原則(基本編)」の55ページを確認ください。

※賃貸人名義と申請者名義が異なる場合でも、申請が認められるケースがあります。申請要領別冊の2.給付に必要な書類が準備できない場合例外①~⑧を確認ください。

⑥直前3か月間の賃料の支払い実績を証明する書類

下記のいずれかをご用意ください。

  • 銀行取引明細書(振込明細書)
  • 賃貸人からの領収書
  • 所定の様式による証明書(今後公表予定)

⑦通帳の写し(表紙、及び、一枚めくった部分)

⑧ネットバンキングの場合には、口座情報の画面コピー

 

9.特例:通常の申請では不都合が生じる方

通常の申請では不都合が生じる方については、下記の特例が用意されております。この辺りは持続化給付金の流れを踏襲しているのかなと思います。

また、下記特例による申請の場合には、追加で準備が必要な書類がございます。

 

  • 創業特例   :2019年1月~12月の間に設立した法人
  • 合併特例   :2020年1月~売上減少月までの間に合併を行った場合
  • 連結納税特例 :連結納税を行っている場合
  • 罹災特例   :2018年又は2019年に発行された罹災証明書を有する場合
  • 法人成り特例 :2020年1月~売上減少月までの間に法人成りした場合
  • NPO法人や公益法人特例

※2019年中の合併や、2019年中の法人成りについては、創業特例を適用できるケースがあります。

 

まとめ

今回は、家賃支援給付金の申請要領について記載しました。

ご覧いただいたら一目瞭然かともいますが、持続化給付金と比較すると格段に難解です。必要書類も多いうえ、イレギュラーなケースが多発するものと思います。

まずは、賃貸借契約書がすべてそろっているかの確認からスタートしましょう。

また、申請要領を確認してみて、まさかの同族間の申請不可には驚きました。中小企業にとってはとても痛い縛りではないかなと…

少しでも多くの事業者さんが当該給付に該当し、なかなかコロナ施策に該当しずらい不動産賃貸業の皆様に家賃として給付金が回っていくとよいなと思います。

 

 

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